人には絶対に言えない、
じぶんのいやなところを言ってごらん。
絶対に言えないことを
じぶんの見えない耳が聞いている。
絶対に言えないことを、
じぶんのこころが憶えている。
そんな、
人には絶対に言えない、
じぶんのいやなところなんてない、
という人は、
たぶん、おもしろみのない人だ。
人には絶対に言えない、
じぶんのいやなところを、
じぶんにも隠そうとする人は、
信じるに値しない人だ。
人には絶対に言えない、
じぶんのいやなところは、
そのじぶんが死んだときに、
どこへ行くのだろうか。
じぶんといっしょに消えてしまうのか。
どこかに残っていて、
だれかにじっと見つめられるのか。
・<ぼくは、 なにも もたずに うまれてきたの。
なまえも、しあわせも、おたんじょうびも、ぜんぶ
あとから もらった ねこだよ。>
「雲がうまれる」さんが、小さな猫の絵とともに、
こんな詩を書いていた。
いいなぁと思った。
人間もそういうものなのかもと思った。
ほんとうに、なにも持たずにうまれてきて、
たくさんのものをもらい続けている。
もらって育ててしまったもののなかには、
悪意だとか、卑怯だとか、冷酷だとかと呼ばれる
「いやなところ」もあるんだよな、人間には。
ずっと大事に隠して持っていられたら、それでいい。
ふと、そんなふうに思ったんだ。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
絶対に言えないことを、しっかり憶えておくのが大人かな。