§ 散歩に行く §

歩けるのは幸せだ
どんな重荷を背負っていても
足をひきずっていても
たとえ杖をついていても
歩けるのは
幸せだ

行くあてもなく歩けたら
もっと幸せだ
風に背を押され
花の香りにいざなわれ
鳥たちのさえずりを追い
知らぬ間に迷子になって・・・・
それからやっと帰りたくなる

帰れるのは幸せだ
どんな小さな部屋にでも
誰ひとり待ってなくても
たとえ土の下 雲の上でも
帰れるのは
幸せだ

谷川 俊太郎

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